Naiikunのメモ帳

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化学・歴史・哲学について主に書きます。短めの記事がメインです。

歴史好きのための化学~世界大戦とアンモニア②~

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前回に引き続き、世界大戦(WWⅠ)においてアンモニア(硝酸)の果たした役割を追っていく。

naiikun.hatenablog.jp

 

最も"酸化"された窒素

前回の記事で、20C前半のアンモニア(硝酸)生産の事情について触れたが、ここから改めてアンモニア(硝酸)が戦争(経済)にどのような影響をもたらしていたのかについて解説する。

 

まずはアンモニアや硝酸というモノが何なのか確認しておこう。

 

アンモニアなどはいわゆる窒素化合物の一つである。窒素(N₂)は空気中の約80%近くを占める、比較的ありふれた元素なのだが、そのままではほとんど役に立たない。

 

といのも、空気中の窒素(N₂)は窒素同士(N同士)強く結合していて普通の条件(大気中、室温)では反応しないのだ。恋愛で例えるなら、既に彼氏(彼女)がいて、別れる気配がない相手にアタックするようなものだ。うまくいくとは思えない。(恋愛で例える必要があったか...?)

 

しかし、幸いなことに今にも別れそうな、もしくはフリーに近い窒素もこの世には存在する。それらは空気中・または水の中に存在する元素、酸素や水素とひっついている。

 

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これらの窒素化合物が、まさにアンモニア(NH₃)や硝酸(HNO₃)だ。窒素同士の結合とは異なり、これらの化合物の結合は比較的かんたんに切ったりすることができる...つまり反応しやすく、応用もきくのだ。

 

ところで、今までアンモニアと硝酸を同じ窒素化合物のくくりで扱ってきたが、どこか違和感を感じた方も多いのではないだろうか。

 

それもそのはず、この二つの化合物では窒素の状態がまるで違うのだ。

 

まず、硝酸(HNO₃)について見ると、これは"最も酸化された窒素"を持つといえる。これはその組成を見ると一発で分かる。

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 wikipediaより

 

この化合物において、窒素は周囲を酸素に囲まれ、持っている電子を根こそぎ吸い取られるような状態になっている。(電気陰性度の大小による)

 

言い換えれば、この状態の窒素はギャングに囲まれたいじめられっこのようなものだ。そして、このような状態になった化合物(窒素)はしばしば手当たり次第に周囲の化合物の電子を奪いにいこうとする

 

この動作がいわゆる酸(強酸)としての働きだ。硝酸(HNO₃)の能力とはこのような電子を吸い取ること、つまり強酸としての能力ととらえることが出来る。

 

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一方、アンモニアについてはどうだろうか。

 

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 wikipediaより

 

先ほどとは異なり、三方(?)を水素で囲まれる形となった。

 

水素は窒素に比べて電子を引っ張る力が弱いので、先ほどと比べて窒素は多くの電子を自身に引き付けている形となる。

 

先ほどは酸素にいじめられていた窒素が、一転していじめる立場となったわけだ。そして、このような状態の化合物(窒素)はしばしば周囲に電子を与えるようになるわけだが....今回はその側面には注目しないので、この話はここまでとしておこう。

 

まとめ

・ 大気中の窒素(N₂)は反応性に乏しい

・硝酸は酸(電子を奪うモノ)としての能力をもつ

アンモニアは硝酸とは異なり、電子を与える性質持つ

 

硝酸とアンモニアの用途…肥料

さて、硝酸とアンモニアの違いを理解したところで、実際の用途を見ていこう。

 

20c前半においてこれら窒素化合物の最も重要な用途は肥料爆薬であるというのは前の記事で述べた。まず、この節では肥料としての用途について解説しよう。

 

19c後半、ドイツのリービッヒという化学者が植物の成長に必要な三大栄養素という概念を提唱した。それは、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)である。

 

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リービッヒ(wikipediaより)

 

窒素の用途とは?

さて、件の三大栄養素のうち、窒素の用途は実に多岐にわたる。というのも、窒素はアミノ酸の原料であるからだ。

 

アミノ酸必須アミノ酸という言葉もあるように人間にとって、引いては生物にとって非常に重要な物質である。その主な用途はタンパク質の合成だ。

 

タンパク質は、我々人類のような多細胞の生物にとって非常に重要な役割を果たす。分かりやすいものがいわゆるコラーゲンで、これは細胞の外、人間なら皮膚などの部分を構成する。

 

今の生物がミトコンドリアなどと異なり、大きな体と多様な機能を持つのは、ひとえにアミノ酸とタンパク質のおかげといっても過言ではないだろう。

 

植物が求める窒素とは?

さて、窒素の重要性について確認したところで、いかにして植物は窒素を取りいれるかどうか見ていこう。

 

まず、大前提として植物のほとんどは大気中の窒素を直接取り込むことは出来ない。これは、先に述べたように室温・大気中での窒素の安定性に起因する。

 

では、どのように取り込むのか。その答えが先に述べたアンモニア硝酸だ。

 

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窒素の吸収の仕組み

まず結論から述べると、植物の多くは硝酸(NO3⁻)の形で窒素を取り込み、アンモニア(NH4⁺)の形に変換してから使用する。

 

それでは肥料として硝酸をドバドバ加えてやれば植物は育つのか、というと実はそうでもない。これは硝酸の化学的な性質に加えて、電気的な性質も関係してくる。

 

前提として硝酸(NO₃⁻)は強酸としての性質を持つため、水中で容易に分解してしまう。分解するなら吸収しやすくなって良いじゃないか、というとそうではない。

 

なぜなら、分解しやすくなるとそれだけ土の中をウロウロ動き回ってしまう。また、土壌の粒子はマイナスイオンであるため、同じマイナスイオンの硝酸イオンを吸着しないこともここではマイナスとなってしまう。

 

それゆえに硝酸を加えても雨などが原因で流れてしまう事が多く、土壌や地下水の汚染につながってしまうことも多い。

 

一方、アンモニア(NH₄⁺)の化合物は硝酸同様に水中で分解してしまうことが多いが、プラスイオンであるために土壌の粒子に吸着し、硝酸よりも長い間効力を発揮することが多い。

 

硝酸を必要としているのにアンモニアを加えても良いのか、と思われる方もいると思うが、土壌にはアンモニアなどを硝酸に変換する微生物が存在しているので、その点に関しては心配ご無用である...(この生物もなかなか興味深い)

 

こうした背景もあり、通常の農業では窒素が多く必要な時期は硝酸を、それ以外ではアンモニア尿素(CH₂N₂O)を窒素肥料として用いるのが良いとされているようだ。

 

何はともあれ、こうした窒素肥料を工業的に生み出すことが出来るようになったことでこれまでの常識では考えられないような効率的な農業が可能になったのである。

 

一方、19c末の農業での窒素肥料の需要の増加に対し、供給方法はチリ硝石という天然の資源に大きく依存していた。(詳しくは前記事へ)

 

日本肥料アンモニア協会

 

こうした現状を何とか改善すべく、空気中に豊富に存在する窒素(N₂)からアンモニアなどの有用な窒素化合物を作れないかどうか化学者の模索が始まるわけであるが...

 

まとめ

・ 植物はアミノ酸の原料として窒素を欲する

・ 植物の多くは硝酸の形で窒素を取り込む

・ 肥料としては硝酸だけでなくアンモニア必要

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かなり長くなってしまったので、今回はここまでにします。

次回は爆薬についてと、窒素工業の黎明期についてお話しします。

 

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 参考資料

F・A・コットン、G・ウィルキンソン、P・L・ガウス著 中原 勝儼訳「基礎無機化学」第三版 培風館、1998年

 

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歴史好きのための化学~世界大戦とアンモニア①~

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二度にわたる世界大戦は、いずれも人類史上類を見ない犠牲者を出し、多くの国々を荒廃させたことは学校の歴史の時間で何度も触れたことがあると思う。

 

我々日本人にとって、おそらく馴染み深いのはWWⅡ、太平洋戦争の方であるとは思うが、未曾有の破壊をもたらし、国際法や慣例に大きな影響をもたらしたという点ではWWⅠについても知っておいて損はない。

 

…これらの大戦において共通していることは、そのいずれもが国家の持つ力をすべて動員した、いわゆる「総力戦」であったことだ。


ブリタニカ国際大百科事典によると、「総力戦」の定義とは以下の通りだ。

 

国家の総力を結集した戦争。現代の戦争にあっては単に軍隊が戦うだけでなく,交戦国は互いにその経済,文化,思想,宣伝などあらゆる部門を戦争目的のために再編し,国民生活を統制して国家の総力を戦争目的に集中し,民全体が戦闘員化するにいたる。このような状況から総力戦という言葉が生れた。

ブリタニカ国際大百科事典より

 

数回に分けて、この「総力戦」において化学(化学者)がどのような役割を果たしたのか、アンモニア(硝酸)を手掛かりに見ていきたいと思う。

 

20世紀前半のアンモニア事情

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フリッツ・ハーバー(The Nobel Prize orgより)

 

さて、アンモニアについて見ていくのだが、そもそもなぜアンモニアが世界大戦において重要な役割を果たしたのだろうか。

 

長ったらしい説明も良くないので、最初に結論を述べておくと、アンモニア(硝酸)とは肥料爆薬の原料である。

 

肥料は国民に食料を供給するために必要であり、爆薬は当然戦争遂行のため必要不可欠なものだ。

 

ところで、世界大戦というと果てしない塹壕戦や戦車・毒ガスなどの新兵器を使った陸戦のイメージ(WWⅠのイメージ)が強いが、経済の面に注目すると、海の交通をコントロールする(制海権をもつ)勢力とそれに対抗する勢力の戦いと見ることも出来る。

 

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1909年のイギリス勢力圏(wikipediaより)

 

特に、WWⅠの頃に焦点をしぼれば、その戦いはそのままイギリスvsドイツ制海権の奪い合いと見ても良いだろう。

 

さて、この制海権アンモニア(硝酸)とどう関係するのかという話だが、それには当時の硝酸の製造方法を見なければならない。

 

当時、つまり20C前半までの硝酸の製造方法とは、硝石(チリ硝石に硫酸を加えるといったものであった。チリ硝石はその名の通り南米のチリで盛んに採掘され、ヨーロッパへと輸出されていた。

 

したがって、戦争が起きても安定してチリ硝石を輸入するためには、南米とヨーロッパのあいだ、大西洋の制海権を手に入れる必要があったのである。

 

しかしながら、島国であるイギリスと異なり大陸国であるドイツは必然的に制海権を奪うこと、つまり海軍力に投資できる割合が少なくなってしまう。

 

books.rakuten.co.jp

 

ゆえに、いちど戦争が始まれば海軍力に劣るドイツはチリ硝石を輸入できず、肥料や爆薬を作れなくなって降伏するだろう、と考えられていた...しかし、実際は1914年の開戦からおよそ4年もの間、ドイツは戦い続け、ときにはイギリス率いる協商国を追い詰めるのである。

 

なぜ、このようなことが出来たのか。それはドイツがチリ硝石に頼らずに硝酸やアンモニアを合成する方法を持っていたからである。

 

次回は、硝酸やアンモニアが肥料や爆薬として用いられる理由について触れつつ、アンモニアの合成法であるハーバー・ボッシュ法について触れていく。

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参考文献・・・

佐藤健太郎 『炭素文明論―「元素の王者」が歴史を動かす―』 | 新潮社

 

楽天ブックス: 戦略の地政学 - ランドパワーVSシーパワー - 秋元千明 - 9784863101869 : 本


炭素とはなにものか ~カギは結合にあり〜

前回に引き続き、炭素について書いていきます。

 

前回の記事はこちら↓

naiikun.hatenablog.jp

 

化石燃料などの現代の炭素利用について触れる前に、元素の中でみた炭素の特徴を見ていきたい。

 

この記事のタイトルですでに触れていることだが、その特徴は

 

・ 結合しやすいこと

 

ではないかと考えられる。

 

今回はこのことに的を絞って話していこう。

 

結合しやすいこと

 

まずはお馴染み周期表で炭素の位置を確認しよう。

 

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 sigma-Aldrich HPより

 

炭素(C)は右上、14属の2列目に存在する。

 

14族には、他にケイ素(シリコン)、ゲルマニウムなど比較的なじみのある元素たちが並んでいる。

 

これら14族元素の特徴として、価電子の多さが挙げられる。

 

価電子とは、大ざっぱに言うと化学反応・結合に関わることのできる電子のことだ。

 

ゆえに、価電子数の多さはそのまま、その元素から生まれる結合の多さに直結するといっても良い。

 

ところで、皆様は有機という言葉の定義をご存知だろうか。おなじみ広辞苑には、以下のように書かれている。

 

生物に由来する炭素原子を含む物質の総称

 

上の定義で重要なことは、生物由来であること、炭素を含むことである。ただし、この

説明だけでは有機というものに対して誤解が生まれかねない。

 

では、有機化合物という言葉についてはどうであろうか。

 

炭素を含む化合物の総称。以前は有機物すなわち動植物を構成する化合物および動植物により生産される化合物を、生命力なしには人為的に合成できないものと考え、無機化合物すなわち鉱物性の物質と区別して有機化合物と言ったが、今日では単に便宜上の区別。 

 

上に太字で示したように、こんにちにおける有機という言葉は、炭素を中心に形成される物質を大まかに指すものであって、生物に由来する云々はほとんど関係しない。

 

こうした言葉の定義からも分かるように、有機化学が無機やその他の化学に並び立つもの、ときにはそれらを圧して化学産業の主役とされるのは、ひとえに炭素を中心とした学問であるからに他ならない。

 

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閑話休題。炭素の話に戻ろう。

 

価電子数の多さが結合の多さに直結することは先に述べたことだが、ではなぜ結合が多いと化学者は喜ぶのだろうか。やや抽象的な議論になるが、しばらくお付き合いいただきたい。

 

まず前提として結合とはなにか。一言であらわすなら、それは原子間で電子をシェアしている状態だ。ゆえに、価電子の多さ→結合の多さ(多様性)という論理が成り立つ。

 

では、結合の多さ(多様性)にはどのようなメリットがあるのだろうか。私見だが、それは結合のもたらす物性にあると言える。具体的に見ていこう。

 

化学物質の性質は構成している元素に加えて、その結合様式に大きく依存している。

 

分かりやすい例がプラスチックだ。プラスチックとは高分子材料の一つであり、高分子とはいうなれば分子量の大きい物質(分子)のことだ。

 

私たちの周りに身近に存在するプラスチックだが、その多くは、あくまで大きなスケールでの話だが、ほぼ同じ元素で作られている。

 

具体的には、炭素、水素、酸素、ときどき窒素、塩素などだ。

 

なぜ同じ元素で様々な性質のプラスチックが出来るのか。その理由こそまさに結合の多さ(多様性)である。

 

例としてポリエチレンについて見ていこう。ポリエチレンは大きく分けて低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレンHDPE)の2種類がある。

 

低密度ポリエチレン(LDPE)は文字通り密に詰まっていないポリエチレンのことで、いわゆる「ビニール袋」とはこのLDPEを指すことが多い。透明で衝撃に強く、なにより安価であることから広く用いられている。

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wikipediaより 

 

低密度ポリエチレン(LDPE)とは? | ポリ袋・ビニール袋のことなら包装技術ねっと

 

半面、高密度ポリエチレンHDPE)はLDPEの逆で、密に詰まったものを指す。こちらはLDPEよりも耐熱性があり、半透明である。レジ袋に使われることで有名。

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wikipediaより 

 

高密度ポリエチレン(HDPE)とは | ポリ袋・ビニール袋のことなら包装技術ねっと

 

HDPEとLDPEを分ける要因は、いってしまえばまっすぐか否か、ということだ。分子式だけではイメージがわきにくいと思うので、以下に概略図を示す。

 

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LDPEの図(wikipediaより)

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HDPEの図(wikipediaより)

 

図を見れば一目瞭然で、LDPEが枝分かれの多い構造をしているのに対し、HDPE直線に近い構造をとっている。

 

まさにこの点が両者の性質を分けるところである。詳細は省くが、枝分かれの多い構造では結晶のような規則正しい姿でいることが難しいので、密度が小さくなり、隙間を光が通りやすい、つまり透明な構造となる。

また、直線ではその逆となる。

 

ここで重要なことは...くどいようで恐縮だが(笑)...一つの原子に対して結合が多く存在しないとこのような現象は起こりにくい、ということだ。また、同一原子同士の結合についても見逃せない。

 

むろん、価電子数が多ければ良いという話ではない。もしそうであれば、炭素の代わりに窒素などの15族以上の物質が炭素に比べて優位にたってもよいはずだ。

 

とはいえ、このあたりの話をするとなるといよいよ2000字を超えてくるので、今回はひとまずここで終わりとする。次回は、なぜ4価の14族が結合において有利であるのか解説する。

 

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今回はここまでです。気軽な気持ちで始めたのですが、思いのほか説明が難しくて苦戦中です。(笑)ほんとうは結合エネルギーも交えた議論をしたかったのですが、良い例が思いつかなかったのでやめました。何か良い説明法があればコメントいただけると幸いです。(by Naiikun)

 

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炭素とはなにものか ~まえがき~

先日、佐藤健太郎氏の書いた「炭素文明論」を読んだ。

 

www.shinchosha.co.jp

 

佐藤氏といえば、Webサイト「有機化学美術館」を立ち上げたほか、その著作や講演などを通して有機化学の面白さを伝える活動で知られている。

 

その氏が有機化学の根幹をなす存在、炭素について切り込み、その重要性を説く。それがこの書である...

 

と実際に読むまでは思っていた。

 

いや、もちろん先のような考えは間違いではない。

 

本を読んでいない画面の前の方々のために内容を要約すると、この本では古くは麦やコメなどの穀物から現代の石油に至るまで、我々の生活で重要な役割を果たした炭素物質

たちがほとんど余すことなく触れられている。

 

特にアヘン戦争のもとになった阿片の主成分モルヒネや、煙草の主成分ニコチンを取り上げて、炭素と人間の歴史との深い関係を説明するセンスは脱帽だ。

 

しかしながら、現代を生きる化学者の端くれとしては、なぜ低炭素社会なる言葉が叫ばれるほど化石燃料特に石油が我々の生活に大きく関わってきているのか、そこまでして化石燃料固執しなければならぬ理由は何なのか、もっと掘り下げて、世に知らしめて欲しかった、というのが本音である。

 

むろん、本という形で世に出す以上、どこかで内容に妥協をする必要があるだろうし、私が本書に対して抱いたモヤモヤ感もそのあたりの事情に由来するのだろうと思う。

 

とはいえ、ここでモヤモヤしたまま読書を終えるのも個人的に好ましくないので、はなはだ厚かましいとは思うが本書にならって炭素とはなにものであるか、非才の身ではあるが書き記していきたいと思う。

 

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 ということでしばらくは炭素、特に化石燃料に的を絞って書いていきたいと思います。

あと、こっちのブログでは基本的に敬語抜きで書いていきます。こっちの方が何となく書きやすかったので。笑

 

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